基本情報として、まずはなぜ透析が必要になるのかを理解しましょう。また、透析室とは何かについても紹介します。
腎臓は血液中の老廃物をろ過する機能を持っており、体内の水分量やミネラル濃度の調整など重要な役割を担っています。腎臓の機能が衰えてしまった状態を腎不全と呼び、そうなった際に腎臓の働きを補うために行うのが人工透析です。腎臓病になると、「タンパク尿」「血尿」「むくみ」「高血圧」「貧血」などの症状が現れます。腎臓はいわゆる「沈黙の臓器」であり、急性腎不全であれば早期発見が可能ですが、慢性腎臓病の場合は自覚症状がほとんどありません。また、慢性腎臓病を発症した場合、元の状態には戻らなくなります。
慢性腎臓病になり尿毒症状などが出ている場合でも、透析を受けなくてもいい状態を腎不全保存期と呼びます。腎機能のGFRが一定の数値内に収まっているケースです。成人日本人の13%は慢性腎臓病といわれています。慢性腎臓病を発症する要因の中でも特に多いのは、生活習慣病です。メタボリックシンドロームとの関連も深く、誰もが発症し得る病気です。そのため、腎臓病を予防するためには生活習慣の改善が必要です。
透析治療を始めるタイミングについては、様々なデータを基に総合的に決められます。重症の場合は全身の痙攣など危険な症状が現れるため、早期に治療を始めなければなりません。一般的に、腎臓の機能が通常の10%以下まで低下すると透析を受ける必要があります。
透析室は、腎不全になった患者が透析を受ける施設です。末期の腎不全になると、血液中の老廃物をろ過する機能が働かなくなるため、人工的に血液をろ過する必要があります。患者は週3回ほど透析室に通い、透析を受けます。透析を受けなければ尿毒症などの危険な症状が現れるため、命に関わる重要な治療です。腎移植をしない限りは、透析を受け続ける必要があります。透析を受ける時間は1回につき4時間前後です。その間、患者はベッドに横になり透析装置につながれた状態でじっとしています。患者によっては血圧低下や不均衡症候群などの症状が現れることもあるため、合併症に注意しなければなりません。
このように、透析は患者にとって負担の大きい治療です。すべての患者が安全かつ快適に治療を受けられるよう、様々な角度からサポートするのが透析看護師の役割です。中には数十年に渡り透析治療を受けている患者もいるため、その苦しみを理解し、相手に寄り添う姿勢が求められます。